こだわりの農産物

『平兵衛さん』のおはなし
 むかしむかし、日向の西かわうちというところに、「へえべえさん」という人がおりました。
ある日、へえべえさんが山のしごとをしていると、いいかおりのする、みどり色をしたまるい実を見つけました。
「なんといいにおいのする実だろう。
もってかえってたべてみよう。」



 そういって、いえにもってかえると、やいたおさかなや、おさしみにかけてたべてみました。なんともいえないおいしいあじがしました。
 「おいしい。おいしい。こんなおいしいものははじめて食べる。」
へえべえさんは、つぎの日、実がなっていた木から、えだをとってきて、じぶんの家のちかくのはたけにたくさんうえました。
「はやく大きくなって、おいしい実をたくさんつけちゃれよ。」
なん年かして、木が大きくなって、おなじような、いいかおりのする実がたくさんなりました。へえべえさんは、その実を村の人たちにもわけてあげました。
「なんといいかおりのする実だろう。」
 村の人たちも、口ぐちにそういいました。
 それからというもの、そのはなしをききつけ、となり村からも、そのとなりの村からも、その木をわけてもらおうと、たくさんの人がへえべえさんをたずねてきました。
 へえべえさんは、いやなかおひとつせず、ほしいという人たちに、じぶんのそだてた木をわけてあげました。

こうして、日向の国には、へえべえさんのあげた木がどんどんひろまり、たくさんしゅうかくされるようになりました。そして、いつしか、村の人はこの木の実のことを、へえべえさんのなまえをとって、「へえべえず(へべず)」というようになりました。
 へべずは、日向の人々にたいへんちょうほうされ、村からそとにおよめさんがとつぐときは、およめさんに「へべず」の木をもたせたことから、たくさんの人によろこばれるようになりました。
 へえべえじいさんの生まれたちくでは、「へえべえじいさんのきねんひ」をつくって、そのこうせきをたたえています。

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